2012年08月07日

悲しみは雪のように


スタッフのOです。

今日のお昼御飯です。

今日は年金事務所で相談員のお仕事だったので、
近所のロロカフェさんで。
キャベツと豚肉の味噌炒め定食。
アイスコーヒーつけて、1000円也。

さて、年金事務所で相談員をしていると、
日々様々な年金相談を受けます。
実際に年金を請求する手続きの受付も、もちろん仕事の一つで、
老齢年金だけでなく、障害年金や遺族年金の請求受付もします。

中でも遺族年金の受付は、大切なご家族を亡くされてすぐに
手続きしなければならないので、請求されるご遺族も
気落ちされているし、こちらも人一倍気を遣います。

以前、こんなお客様がいらっしゃいました。

亡くなったご主人は85歳、請求する奥様は80歳。
ご高齢のお母様を心配されたのか、娘さんが付き添っておられました。

奥様は80歳という年齢にも拘らずとてもお元気で、
書類を書く間も、冗談を言っては娘さんを笑わせていらっしゃいます。
私は不謹慎ながら、
「ああ、この年齢になると悲しみも軽くなるのかなぁ。」
なんて思ってました。

書類も書き終わり、添付書類の確認も終わり、
「何かほかにご質問はありますか?」とお聞きした時、
今までニコニコされていた奥様が、こう切り出されました。

「質問は特にないけどね。もらうようになったらあるかもね。
でもまあ、そんなに長い間もらえないと思うけど…。

実は私、半年前に肺がんの手術をしたの。
肺を四分の一切ってね。肺の手術だから大変だったの。
やっと落ち着いたら半年後に夫が急に倒れちゃって。
それまで本当に元気だったのに、あっけなくね。

身体にダメージがきて、精神的にもダメージがきて、
私こうしてると元気に見えるけど、本当はボロボロなのよ。
何かしてないと、精神的に参っちゃいそうでね。」

横で娘さんも頷きながら聞いていらっしゃいます。

その時私は、自分の浅はかさを恥じたのです。
表面的に明るい奥様を見て、あんまり悲しくないのかな?
なんて思っていた自分の、考えの浅さを。

どんなに高齢になられても、どんなに長い結婚生活だったとしても、
いえ、長い結婚生活だったからこそ、かけがえのない家族を失うのは、
自分の身を切られるのと同じくらい辛いはずです。

悲しみが深ければ深いほど、人は気丈になれるのかもしれません。
大声で泣き叫ぶことだけが、悲しみの表現ではありません。
ニコニコ笑って娘さんと冗談を言いあい、
これでもかという量の届出作業をこなし、
でもその間にも、
悲しみは雪のようにしんしんと降り積もっているのかもしれない。
夜になればお一人で、涙をこぼされるのかもしれない。
私にはその想像力が足りませんでした。

私の仕事は、年金事務所以外の仕事も含め、
お客様の喜怒哀楽と対峙する場面が、とても多い仕事です。
書類や手続きの正確さはもちろん、
お客様の感情にも、寄り添える仕事ができたら。

忙しさにかまけて人の心を失いそうになったとき、
いつもこの奥様のことを思い出すようにしています。

悲しみは雪のように…。
少しでも、雪が解けていることを祈って。


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Posted by 夢創造館 at 21:58│Comments(0)日常
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